ウヰスキー巡禮記

ウイスキーに纏わる様々なことを、書き綴っていきます。

サントリーワールドウイスキー碧Ao

本日4月16日(火)発売開始となったサントリーワールドウイスキー碧Ao。

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碧Ao(サントリー碧Aoブランドサイトより引用)

www.suntory.co.jp

”世界5大ウイスキー”とされるのが、スコッチ(スコットランド)・アイリッシュアイルランド)・アメリカン(アメリカ)・カナディアン(カナダ)・ジャパニーズ(日本)。誰が呼んだかは、この際置いておきます。

 

ご存知のようにサントリーは、2014年にビーム社を買収しビームサントリー社を立ち上げたことで、世界5大ウイスキーの生産地全てに蒸留所を持つ唯一のメジャーとなりました。

DCLをルーツを持つディアジオも、シーグラムやアライドをルーツに持つペルノリカールもジャパニーズを持っていないからです。

もっとも、今後世界の品評会でインドや台湾といった国々のスピリッツが栄誉に輝くようなことがあれば、5大ウイスキーの定義が変わるかもしれません。

 

発売日に、早速バーで飲む機会を得ました。

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サントリーワールドウイスキー碧Ao

まずはボトルから。

正面から見ると、筆書きの「Ao」という文字と、碧色のラベルが目を引きます。

裏側は、張り出した部分が面どりされ、上から見ると(写真はないですが)5大ウイスキーを表す五角形となっています。形から入ってます。

 

味わいですが。。。

料飲店関係者や著名ブロガーのみなさんは、事前に開催されたテイスティングセミナーに招かれていたようですが、「うまい!」という声はあまり聞こえず「不思議な」といったワーディングで語られることが多かった「碧Ao」。

 

香りは、正直わかりません。わかりにくいように設定されているのでしょうか。不思議です。80年代風に言うと「コスモポリタン薫る」とでもいうのでしょうか。高いレベルでブレンドされ、非常にバランスのとれた香り、としておきましょう。

 

飲んでみると、これまたわかりません。本当に”不思議”なのです。

多くの方が書いてらっしゃるのであえてどこの蒸留所の、とは述べませんが、最初のパレットでは若干のスモーキーネスがアードモア由来なのかな?柔らかさがクーリーやアルバータ由来なのかな?といったところ。悪く言えば香味を感じにくかった、良く言えばどれか一つを際立たせることなく”ウイスキー”という飲み物、そのものを表すような味わいというのが正直な感想です。

 

ただしばらく置くと、溶剤っぽさが立ち上ってきます。そう、ジムビームです。ところで山崎のシェリーは?どこ?素人にはほのかに感じる香味まで嗅ぎ分けられないのが悔しいところ。

うがった見方をすれば、ブランド力の相対的に低いアルバータやクーリーの原酒を多くして、標準的なプラント稼働を目指したのではないかとも思います。

 

価格帯としては希望小売価格5000円と、角瓶の3倍以上。山崎のNASより高い。ジョニ黒の2倍。

話題作りに非常に長けており、日本市場では強固な営業力を持つサントリーだけに、話題性とマーケティングの力で、ある程度は売ることができると思います。

どこに焦点をあてて、どのターゲットに対して売っていくのか。

日本のウイスキー好きという限られたマーケットでは、一度飲んでみて、どの原酒をつかっているのかなぁと香味を探ってみる楽しみはあると思います。しかし、こだわりを持っている人が継続して飲んでいくという印象は受けません。

日本では、ライト層へ高級感をベースにして、如何に浸透させられるかが勝負でしょう。響や山崎の納品が難しいスナック向けなどは、いい線行くかもしれません。そのためのストーリー作りには余念がないと思われ。

一方で、世界ではどうなのか、これも見どころかと。

 

話題性だけではない、第2第3の仕掛けが生まれてくることを楽しみにしています。

 

なんとか日付が変わる前に脱稿できそうです。

キルホーマン蒸溜所

2005年、アイラ島に124年ぶりに誕生した”ファームディスティラリー”と呼ばれる小規模な蒸溜所です。

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蒸溜所外観(2013年撮影)

初訪問は2013年。私自身、初めて訪れたモルトの蒸溜所でした。

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モルティングフロア(2013年撮影)

見るもの全てに感動し、ウイスキーというのはこんなアットホームな雰囲気で作られているのだと思ったものでした。

もっとも、その後にカリラへ行った時に体験した”工場感”が普通だったというのは、その後、様々な蒸溜所見学をしてわかったことではありました。

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乾燥させたピート(2013年撮影)

初めての蒸溜所見学。ピートを燃やすところから、糖化、発酵、蒸溜、樽詰めと見せていただきました。

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マッシュタン(2013年撮影)

このあと、ウォッシュバックでは麦汁を飲ませていただきましたが、これから発酵というものだったからか、とても甘かった印象があります。

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再溜釜(2013年撮影)

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記念すべきカスク#1(2013年撮影)

カスク#1は2005年12月14日樽詰めとなっています。ですから、05年ビンテージというのは基本的に見つけるのが難しいと考えられるでしょう。

さて蒸溜所の規模にふさわしい小さなボトリング施設では、手作業で瓶詰めを行なっていました。いつもキルホーマンを飲むたびに、あそこでガラスのボトルに充填された”滴”なのだなぁと感慨深くなります。

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キルホーマン蒸溜所での瓶詰め作業(2013年撮影)

2018年には、TWEやクラブ会員限定で12年熟成ものが流通するようになったキルホーマン。短熟での評価の高さは、スタンダードレベルの出来にも繋がっています。

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キルホーマン12年 for the kilchoman club(2019年撮影)

次の節目は21年でしょうか。非常に楽しみです。

 

個人的には、飲ませていただいた麦汁から作られたウイスキーが飲めればという小さな夢を持っています。2013年8月中旬から下旬に蒸留されたキルホーマンは、是非手に入れたいと思っております。

はじめに

ウヰスキー巡禮記」スタートしました。

 

このブログでは、筆者が飲んだシングルモルトを中心とした蒸留酒や筆者が訪れた蒸留所、ウイスキーに関する歴史など様々なことを綴っていくものです。

 

出来るだけ正確な記事にしたいと思いますが、テイスティングは当然ながら主観も入りますし、過去と未来とで状況が変わることもあります。

 

ウイスキーの魅力は、大麦麦芽由来の上質な甘さはもとより、その琥珀色の液体に詰まった時の流れや、その背後に幾重にも重なる様々な物語にあると思っています。

 

個人的な経験を多くの方にお伝えすることは大変おこがましいのですが、同じような関心を持っている方のお役に立てることができれば、それもまた幸いです。